2007年12月21日金曜日

実写劇場版「蟲師」

劇場版「蟲師」をDVDで見ました。
オダギリジョーがギンコを、江角マキコがぬいを演じている実写版。
公式サイト:http://www.mushishi-movie.jp/

物語は、原作の4つの話を再構成し、独自の結末で締めくくる、という作り方。原作やアニメを知らない人にとっては、面白かったのではないかと…。不思議な世界であり、ちょっとホラーちっくでもあり、人間ドラマでもあり。映像も、不可思議な現象をうまく表現していたと思う。

最初に公式サイトで出演者たちの姿を見たときには、ギンコ(オダギリジョー)やぬい(江角マキコ)の髪の不自然さが気になったけれど、映画の中で見ると、それほど違和感は感じない(それでも「あぁ、カツラだな〜」という感じには見えちゃうけれど)。

ギンコを演じるオダギリジョーも悪くない。人間ではあるけれど人とは違う能力を持っていて不思議な雰囲気を持つ人物像に、オダギリジョーはピッタリなのかも。


ただ、
……
(ここから先は、原作とアニメのファンである私の、ちょっと負の要素の多い感想なので要注意(多少ネタバレあり))
……

原作を知っている私としては「あぁ、こういうギンコもありかも」…という感じであって、あれは、私の知っているギンコとは違う。あとは、ぬいが全然違う。確かに見た目の雰囲気は江角マキコなのかもしれないけれど、私の感じていたぬいはもっと女性らしい部分がたっぷり残っていたんだけどな…。

実写版に使われていたのは、原作の「柔らかい角」「雨がくる虹がたつ」「筆の海」「眇の魚」の4つの話。ギンコの過去を描いている「眇の魚」が作品全体に少しずつ挿入されて、忘れてしまっている過去をギンコが少しずつ思い出し……結末へ……と締めくくる。

悪くない…悪くない……んだけど、「眇の魚」に【結末】を付けてほしくなかったな…というのが私の気持ち。ぬいをあんな風にいじってほしくなかったな〜と。なので、物語として「受け入れたくない」というのが大きな感想になってしまいました。

原作を知らなければ、また原作でもこの話に特に思い入れがなければ気にならないのかもしれないし、映画として1つの作品にまとめるために何らかの【結末】をつけなければならない場面で、あの話を使うのは「良い案」だとも思う。が、アタマで理解できても感情的に、あの話をいじってほしくなかった。


映像的には…「暗い!」…が感想。

超常現象を扱うのだから映像が暗くなるのは仕方の無いことなのかもしれないけれど、あれじゃ「ホラー映画」みたいだよ。そもそもホラー映画が好きじゃない私には、ちょっとホラーっぽ過ぎました。映画館に見に行かなくてよかったよ。あれを2時間以上見せられたら、ちょっと辛い。原作やアニメだと大丈夫なのは、画面が明るいから。そもそも、お話は恐いのもではないので、映像が暗くなければ全然恐い物語ではない。だから原作やアニメは好き。でも、それを実写で映像化しなくてはならなくなると、あんなふうに全体的に暗い映像になってしまうわけなのね。だとしたら、やっぱり「実写化反対!」。

それから、超常現象の表現。最初のところでは「うまく表現していた」なんて書いたけど、原作やアニメを見て、私の中で感じていた現象と比べると、全然地味。もっと、「うわ〜〜〜〜〜っ!」という驚きのある映像にしてほしかった…と思っちゃいました。ナイモノネダリなのかもしれないですけど…。

それから、「汚い」(苦笑)。
ちょっと昔の庶民の暮らし…が舞台になっているので、まぁ、衣装はあんな風に汚いのが当たり前なんだろうとも思う。それに合わせてギンコの服装も、まぁ、あんな感じなんだろうとも思う。アタマでは理解できるんだけど、私のギンコの印象は、もっと身ぎれいな感じなのね。村の人たちが着物を着ている中、原作ではギンコだけがラフではあるけれどシャツとズボンという洋風の格好をしていて、それがちょっと不思議な雰囲気を醸し出している。実写でも確かにシャツとズボンなんだけど、薄汚さのためにまわりに溶け込んでしまっているな…と。映像的に、ギンコだけ浮いてしまったら変だと言うのは判るのだけど、その変なところがギンコっぽいと感じていたのにな…とも。

…と、自分でも何を書いているのかわからないけど。

 私の中で、ギンコには色がない

人間くささは持っているけれど人間の匂いがしない、色のついたズボンを履いていてても色のない淡〜い印象しかない。その、淡い印象の人物を、実在の人物が演じているだけで違和感があるのかも。アタマではオダギリジョーはピッタリだと思うけれど、感覚的に「人間」が「ギンコ」を演じるのを許さない… という感じ?



というわけで、いちおう「見た」ことは意義があったな〜、と。
ただし、私はあまり好きになれなかったな、と。

原作コミックスは手元にはないのだけど(読んだことがあるだけ)、なんだか手元に欲しくなっちゃった。意外とギンコに惚れていたのかも。あぁ、またコミックス買っちゃうのか、私?(苦笑)

監督:大友克洋
出演者:オダギリ ジョー、 大森南朋、 蒼井優、 江角マキコ
収録時間:131分
レンタル開始日:2007-10-05

Story
漆原友紀の人気コミックを大友克洋監督が映画化したファンタジー巨編。不思議な生命体“蟲”を研究する、白髪で左目が義眼の青年・ギンコ。果てしない旅を続ける中、淡幽という少女との出会いによって彼は蟲に憑かれてしまい…。オダギリ ジョー主演。
(C)2006 蟲師フィルムプロジェクト (詳細はこちら

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