2011年6月17日金曜日

演劇集団キャラメルボックス「賢治島探検記」

キャラメルボックスの緊急公演Vol.1の「賢治島探検記」を見てきました(6/16(木))。


このお芝居には2つの意味+α×2がある。

1つは、東日本大震災の影響を受けて動員数がの激減によって劇団存続の危機を迎えている劇団が「もう、ウチは、こういう時は、バカみたいに芝居するしかないんですよ。お客さんに元気になってもらうために。」(by西川浩幸さん)ということで、予定になかった公演を2つ企画して上演することに決められた公演であること。
(ちなみに企画されたのはvol.1の「賢治島探検記」と、Vol.2の「銀河旋律」。どちらも再演)

もう1つは、この「賢治島探検記」自体がそもそも、阪神淡路大震災を受けて「被災地で路上でもできる芝居を作ろう」ということで作られた芝居であること。

さらに、偶然の+αではあるけれど、宮沢賢治が岩手の人であること。

そして、もう1つの+αは、「バカみたいに芝居をするしかない」と緊急公演を後押しした発言の西川さんが病気からの復帰でステージに上がってくれたこと(※)。

※4月、キャラメルボックスの看板役者である西川浩幸さんは脳梗塞で入院。現在も言葉の発声に少し障害が残るものの、舞台に復帰してくれたんです。西川さんは私の王子様の一人ですから、こんなに嬉しいことはありません(感涙)。<これを書いている時に、不覚にも涙……


そんな「今」のための芝居を見てきました。


演目は、宮沢賢治の原作4作をキャラメルボックス風にアレンジしたエピソードに、それを研究するゼミの学生達の話を組み込んだ物。

プロローグ:探検隊来る(大学生ゼミの授業風景)
第一話:どんぐりと山猫と馬車別当(原作:どんぐりと山猫)
第二話:注文の厳しい料理店(原作:注文の多い料理店)
第三話:ゴーシュ弾かれのセロ(原作:セロ弾きのゴーシュ)
第四話:光速銀河鉄道の夜(原作:銀河鉄道の夜)
エピローグ:探検隊帰る

第一話と第二話は、今回日替わり。私が見に行った回は、第一話の「どんぐり〜」。幸運なことに、第二話の「注文の〜」は、少し前のUstream中継で見ることができたから、両方を見ることができた、ってことになるんですね。

前半(第三話まで)は笑いの多い物語、そして後半(第四話)は、命について考える切ない話。
緩急のある物語展開と、リコーダー、バイオリン、木琴、バケツパーカッション、ハンドベルと、生の音を使った演出が多いし、舞台装置は幕と椅子だけなのに、その簡素さを感じさせない素晴らしいお芝居でした。

宮沢賢治の作品を全然読んだことがなくても楽しめるけれど、きっと、知っていた方が面白かったんだろうな…と思った私は、全然知らなかったりします。ほんと、申し訳ない。次までにはぜひとも少しずつでも読んでみようかと……。


そして、途中の曲を演奏するシーンでは、なんと、金ぴかの着物をまとった「西川浩二郎」(西川さん演じるところの演歌歌手キャラ)が!!!! 少し痩せたという印象だけど、元気に歌うたってる!元気にステージに立ってる!!


今回は、最前列の通路横、通路から登場した役者さん達が舞台に上がる階段の目の前の席だったんですが、真横で聞く石川寛美さんの声が超絶でした(笑)。超音波な高音の大音量〜〜〜!(笑)いやー、いい経験をさせてもらいました。

芝居が終わっての舞台挨拶は大内くん。そして、途中でちょっとだけ西川さんが出てくれました。少し言葉で詰まっていたけれど、笑顔と元気な姿がほんとにほんとに嬉しかった。

…って、芝居の感想じゃなくて、西川さんを見ることができてよかった日記になってるかも(笑)。でも、だって、本当に嬉しかったんですもの。



前回の日記でも書いたけれど、キャラメルボックスは劇団存続の危機を迎えているそうです。
もしももしもこの日記を読んで興味を持ってくださった方がいれば、ぜひとも見に行ってみてください。肩の凝らない、じーんと感動できる芝居をする演劇集団です。

各ページに空席情報もあると思います。
空席のある公演は当日、劇場に行って当日券を購入することも可能。暇な時間ができちゃった方は是非。

ハーフタイムシアター「水平線の歩き方」「ヒア・カムズ・ザ・サン」
http://www.caramelbox.com/stage/halftime2011/index.html

「賢治島探検記」
http://www.caramelbox.com/stage/kenji2011/index.html

「銀河旋律」
http://www.caramelbox.com/stage/stardust-melody2011/index.html

また、夏には新撰組の無名隊士を主人公にした芝居「降りそそぐ百万粒の雨さえも」も予定されてます。こちらのチケットはまだ先なので、じっくり日程を選べるよー。
http://www.caramelbox.com/stage/furiame/index.html

柿食う客とのコラボ、アナザーフェイスの「ナツヤスミ語辞典」もございます。
http://www.caramelbox.com/stage/natsuyasumi2011/index.html


製作総指揮・加藤さんのツイッターアカウントはこちら。
当日券情報などもつぶやいてくれます。
http://twitter.com/#!/KatohMasafumi


キャラメルボックスをどうぞヨロシク、ヨロシク、ヨロシク!

2011年6月16日木曜日

演劇集団キャラメルボックス ハーフタイムシアター「水平線の歩き方」「ヒア・カムズ・ザ・サン」

演劇集団キャラメルボックスの春公演、ハーフタイムシアター2本だてを見てきました。「水平線の歩き方」と「ヒア・カムズ・ザ・サン」。
6/15(水) 14:00/15:30。

※ハーフタイムシアターというのは、1時間弱のお芝居のこと。キャラメルボックスが最初に使った言葉だと思う。もう20年も前から始めてる。


ーーーーーーー
実は3月に見に行った「夏への扉」は、感想を書いてない。ハインラインのSF小説を舞台化したもので、なにやら版権の問題とかなのか、DVD化はされないらしい。私は原作を読んでいないのだけれど、この原作を読む前に、キャラメルボックスの成井豊さんの脚本や、梶尾真治さんの小説を知ってしまっていたからか、その原点である「夏への扉」に対して目新しさを感じられなくて感想に困ってた(原作ファンの方、申し訳ない)。そして、その内容よりも衝撃的な状況を目の当たりにして、ショックを受けたというのもあった。

それは、震災の影響で、観客の数が激減していたこと。


私はずっと平日の昼間の回を選んで観劇してきた。確かに、土日に比べると客足は少ないんだろうとも思っていたけれど、空席がそれほど目立つようなことはなかった。キャラメルボックスを見始めてから20数年(途中、アメリカ在住期間は参加していないけれど)、キャラメルボックスの人気はずっと保たれてきていて、安泰だと思ってた。

が、3月末の平日の昼間の回は、はっきり言って客席の3分の1ぐらいしか埋まってなかった。その状況を見て、愕然としてしまった。製作総指揮の加藤さんが、ツイッターで「当日券あります!」ってしつこいぐらいにツイートしていたのも知っていたけれど、こんな状況だったとは知らなかった。

確かに私だって都内に出て行くのは、まだ怖かった。
ちゃんと調べてないから間違いかも知れないけれど、震災の影響という事で、きっと、チケット払戻しもあったんだと思う。劇場に行くのが怖い、チケットも払い戻ししてもらえる…ってなったら、「今、観劇ってのも不謹慎よね」とか「家族と離れているのは怖いから出かけたくない」っていう気持ちも分かる。でも、そんなに多くの人が「今回はやめよう」って決断をしたという事は予測できなかった。劇場に行って、実際に自分の目でガラガラの客席を見るまで分からなかった…。

そして、ツイートやブログなどの情報などから、キャラメルボックス自体が、この震災の影響で経営が厳しい状態なんだという事も知った。

それが、3月の公演「夏への扉」に対する感想。
芝居そのものへの感想よりも、震災の影響の方が心に残ってしまった公演だった。




ーーーーーー
で、ここからは、やっと今回の公演の感想。

今回の「水平線の歩き方」と「ヒア・カムズ・ザ・サン」は、内容的に、とっても共感できる、泣けるお話でした。どちらも、「人は1人では生きていけないんだよ」というお話。人に迷惑をかけずに一人で生きていこうとする人が、最後に一人で生きている訳じゃないんだ、と気がつくお話。これから見に行く人は、ハンカチの用意を忘れずに。

「水平線の歩き方」は、主人公である幸一(岡田達也)が住んでいるアパートの1室での物語。ねたバレになってしまうから物語は書けないけど、途中で「あれ?もしかして?」と気がついてしまう事があったけれど、シリアスな気分になりそうな時に、舞台のど真ん中の居間でお菓子をぼりぼりと食べる岡田さつきさんの演技で笑いに誘われる。そのシリアスと笑いの絶妙なバランスで進んでいく物語。そして最後にぐっと来る展開。泣いた泣いた。ハンカチぐしょぐしょ。岡田くんと岡田さんのダブル岡田コンビの演技がすごかった。

そして、「ヒア・カムズ・ザ・サン」。こちらはうって変わって空港、家、会社、公園……と場面展開の多い芝居。物に着いた記憶を読み取る事ができる主人公・真也が、愛する彼女の父親の真実の姿を突き止めようとする話。主人公は阿部丈二さん演じるところの真也なのだけれど、物語の中心は彼女の父親。家族を捨てアメリカに渡って20数年。彼が突然日本に帰ってきた本当の理由は……?というお話。

両方の芝居を見て、とにかくすごかったのは岡田達也さん。


「ヒア・カムズ・ザ・サン」には、4月に脳梗塞で入院した西川浩幸さんが出る予定だった。西川さんの代役を演じることになったのは岡田くん。…ということは知っていたのだけれど、片方の芝居で主人公を演じる岡田くんが演じるってことを聞いて「あぁ、西川さんの役って言うのは、出番の少ない役なんだなー」と勝手に考えてました。そしたら、準主役で出ずっぱり! この主役級のヤクドコロの2本に同時進行で出演する岡田くんって、なんてすごい役者なんだ!!!…と、なんだかすごく感動。

そして、岡田くんが演じていた白石という役は、ちょっとヤクザっぽいぶっきらぼうで男っぽい人物像の役。それがすごく意外でした。そもそもは西川さんが演じるはずだった役なわけですよね? このキャラは西川さんっぽくない。演じる役者が西川さんから岡田くんに変わったことで、人物像を練り直したということなのかな…、西川さんが演じるはずだった白石はどんなキャラの人物だったのだろう?…と、想像を巡らせる。西川さんが演じる白石も見てみたい。


ーーーーーー
3月の震災の影響で、キャラメルボックスも打撃を受けているようです。
3月に私が空席の多さでショックを受けた公演ほどではないでしょうけれど、今でもまだ「お芝居なんて」と思っている方もいらっしゃるのかも。

同じ芝居の公演数をただ増やすのではなく、現在の演目に加えて、劇場が空いている時間に「別の演目」を演じることに決めたキャラメルボックスの判断に敬意を表します。緊急公演として「賢治島探検記」を今回のハーフタイムシアターの合間に、「銀河旋律」を代々木の山野ホールで。そもそも「賢治島探検記」は、阪神淡路大震災のあとに“路上でも上演できる作品を”というコンセプトで作られた演目。今回の震災でも、本当は東北に行って演じたいと思ったそうです…が、経済的な打撃を受けてしまったために、金銭的な理由で、まだ実行できない…というところのようです(詳しいことは分かりませんが…)。

もしももしもこの日記を読んで興味を持ってくださった方がいれば、ぜひとも見に行ってみてください。肩の凝らない、じーんと感動できる芝居をする演劇集団です。

各ページに空席情報もあると思います。
空席のある公演は当日、劇場に行って当日券を購入することも可能。暇な時間ができちゃった方は是非。

ハーフタイムシアター「水平線の歩き方」「ヒア・カムズ・ザ・サン」
http://www.caramelbox.com/stage/halftime2011/index.html

「賢治島探検記」
http://www.caramelbox.com/stage/kenji2011/index.html

「銀河旋律」
http://www.caramelbox.com/stage/stardust-melody2011/index.html

また、夏には新撰組の無名隊士を主人公にした芝居「降りそそぐ百万粒の雨さえも」も予定されてます。こちらのチケットはまだ先なので、じっくり日程を選べるよー。
http://www.caramelbox.com/stage/furiame/index.html

柿食う客とのコラボ、アナザーフェイスの「ナツヤスミ語辞典」もございます。
http://www.caramelbox.com/stage/natsuyasumi2011/index.html


製作総指揮・加藤さんのツイッターアカウントはこちら
http://twitter.com/#!/KatohMasafumi



…と、最後は宣伝になっちゃいましたが…。