2009年2月27日金曜日

「FLAG Director's Edition 一千万のクフラの記録」○

NHKで放映してたアニメOVA(?)
「FLAG Director's Edition 一千万のクフラの記録」を見ました。

「FLAG」という全13話のシリーズアニメーションの総集編とのこと。
このアニメ、知らなかった…。
http://www.flag20xx.net/

アジア(中東?)の小国の内戦を取材する日本人カメラマンの話。国連の特殊部隊専属になった女性カメラマンが写した兵士や戦争の記録を、その先輩であるフリーカメラマン(男性)の視点で語る物語。

 怖かった。

特に怖い映像がある訳ではないのだけど、戦争の理不尽さと、生と死の不確定さがジワジワと感じられて、怖い。なぜ、戦場で命をかけて取材をすることが出来るんだろう?…という、理解できない不思議な感覚。この物語はフィクションだけど、多分、同じような行動をしている人たちが、いま、この瞬間も世界のどこかにいるという、切なくて怖くてやりきれない思い。

戦争を記録することの意義ってなんだろう?

安全なところから見ている人にとっての価値観と、
命をかけて記録しようとしている人の価値観と、
撮られている人たち(争いの当事者や、巻き込まれた人々や、大義をかかげて武器を使用する国連軍の人々)の価値観の相違。

怖くて不思議な物語でした。

2時間弱でも充分伝わってきたのに、これを全13話で放映していたんですね。登場していた1人1人をもっと深く映像化していたのかな…。怖いけれど、いつか、機会があったらシリーズの方も見てみようかな…。



内容からは話がそれるけれど、映像の作り方が面白かった。
ほぼ、全てのシーンが「レンズを通して見た映像」になっていること。

女性カメラマンのファインダー、先輩ジャーナリストのファインダー、ヘリや二足歩行兵器の車載カメラ、照準器、暗視カメラ、TV映像……と、いろいろな視点が使われるけれど、全て「レンズを通した映像」。主人公たちの顔も、自分のカメラのファインダを他の人が覗いた映像だったり、鏡に映った自分を撮った映像だったり、カメラマン同士が互いにカメラを向け合ったりしたときの映像だったり…。

そもそも「実写で映画を撮る」場合には、役者と視聴者の間には必ず「レンズ」が存在する訳だけど、絵で表現するアニメには、むしろ必要のない「レンズ」。それが、意識的に、必ず「レンズ越し」の映像になっている、というのが興味深い。こんなにたくさんの「レンズ」に囲まれて生活しているんだな… と、なんだか不思議な気持ちになってみたり…。


映像の作り方としても、内容としても、興味深いアニメでした。


…う〜ん、うまく言いたいことが書けないのが悔しい。
見る機会があればぜひ見て欲しい作品、かな。


【追記】
…と調べてみたら、TOKYO MXで放送中だった!
今週の土曜日が第9話だそうです。
あら〜、1月から地上波初、とかで放送していたのね。
チェックしてなかった……。
途中からだけど、9話から見ようと思います。
(そもそもはバンダイチャネルでweb配信が最初だったらしい)

2009年2月18日水曜日

映画「20世紀少年 第2章」△

第2章、見てきました。
第1章の感想は「○」だったのですが、第2章のワタクシ的評価は「△」ぐらいかなぁ。

→第1章のときの感想

続きが気になるから第3章も見に行こうかと思っているぐらいだから、全然面白くなかったって訳ではないのだけど、第1章と比べると話にのめり込めなかったんですよね。

今日の感想日記は、だいぶ批判的になりそうです。あくまでも私個人の感想ということで、こういう感想の人もいるんだな、と寛容に読んで下さる方のみご覧ください。反論や批判はご容赦願います。


■のめり込めなかった理由

のめり込めなかった理由は幾つもあるんだろうけれど、一番大きな理由は、第2章の主役になったカンナに魅力を感じなかったことだと思う。

まずは、彼女が何を考えて行動しているのか理解できなかった。「ケンジおじちゃんは間違ってない!」という気持ちは分かったけど、ああなってしまった社会の中で、それを全面に噴出させながら生きていくことについて、ワタクシ的にま〜ったく理解できない。演技からも、彼女の考えていることが伝わってこないし、共感できない、させてもらえない。単なる「あとさき考えない猪突猛進バカ」にしか見えない。それに、あの女優さんが非常にヘタクソに見えて鼻についた(そういう演出指導を受けているのかもしれないけれどね)。

それから、彼女が普通に高校生をしているという設定に疑問。「ともだち」がカンナの居所を完全把握していてもおかしくないよね。もしもそこから逃げてレジスタンス活動をしようと考えているのなら、どうにかして身を隠したりするんじゃないの? 苗字も名前もそのままで高校に通ってるってどうなの?

その辺の設定も理解できないから荒唐無稽なストーリー展開に見えて、途中から「なんだかなぁ〜、ツッコミどころ満載だよね〜。笑っちゃうなぁ〜」という、すご〜くヒキの姿勢で映画を「眺める」ことになっちゃいました。

第1章は、主人公だったケンジの眼から見た「子供の頃の遊びが、何故現実に?」「それを行おうとしているのは誰?」という、不思議な現象を掘り起こしながらの犯人探しという推理要素にハラハラドキドキさせられて面白かったのだけど、第2章になると敵が強大になって隙がなさ過ぎるし、それを「どうしたいのか」という主人公側の目的が分からない(共感できない、汲み取れなかった)から、物語に入って行けなかった。この映画には主人公が進んで行く「モチベーション」が見えなかった。そういえば、RPGでも、モチベーションの無いRPGって、私の中で「面白くない」って評価をしているような気がする。

この辺の荒唐無稽さ、モチベーションのなさは、原作ではどうなんだろう?
どの場面も、漫画の画面で見せられば、あまり荒唐無稽と感じないのかも知れないな。というのか、原作にはもうすこしきちんとした理由や設定が書かれているんじゃないのかな。実写化するときに、いろいろと削ぎ落とし過ぎて、原作を知らない私には理解できなくなっちゃった、ということなんだろうか??


それから、「ともだち」を崇拝している人々の描写に非常に嫌悪感があったのも、のめり込めなかった理由の1つ。「デスノート」のときにも、キラ崇拝者たちの集団行動が嫌だったのね。なので、キラ崇拝時代になった第二部が嫌だというのもあるかもしれない。さらに、それが「実写化」されると、更に嫌悪感が増す。


■小泉とオッチョはcool!

と、否定的な話ばっかり書いてきましたが、「お〜、これは好きかも」と思った部分もいくつか。

1つは、カンナのクラスメイトの小泉キョウコ(笑)! 可愛かった! 女優さんとしても、役柄としても、すごく魅力的! 漫画からそのまま出てきた様な演技になっていたんじゃないかな。漫画の中で、どんな感じに描かれていたのか(もちろん見たことはないのだけど)眼に浮かぶよう!

もう1つは、オッチョ!(また?←第1章のときにも書いてたよね(笑))
オッチョ、カッコ良過ぎでしょう!
教会のシーンなんて、も〜ヤパかった!あのシーンを見たときに「あ、この映画、映画館まで足を運んだ意味があったかも」って、やっと思えましたよ(笑)。


…ということで、「20世紀少年 第2章」は、小泉さんとオッチョのための映画だった、ということで(笑)。


■さて第3章は?

「ともだち」の正体についての推理は、少し進んだみたいなんですが、ど〜も今回はそこには重点が無かったようだし、全然興味を引かれなかったのが残念。第3章は、いったいどんな方向になるんでしょうね? 巨大な勢力との戦い、という壮大なレジスタンス活動ものになるのか、頭脳的推理戦による「ともだち」攻略になるのか。ワタクシ的には、後者の展開のほうが好きだけど、なんか、前者になりそうな…? 原作は読まない予定なので、ネタバレはご容赦ください。

2009年2月5日木曜日

映画「天国と地獄」「生きる」&黒澤明没後10周年特集

「生きる」は、黒澤明監督1952年の作品。

去年は黒澤明没後10年ということで、NHKで全30作品放映という特集をやっていたんですよね。私は、30作品のうち16作品しか見られなくて「残念だなぁ」と思っていたら、好評だったらしくて今年、もう一度全作品を放映してくれるみたい。

16作品を見ての感想、というのを書いておかなくちゃ…と思いつつも、すっかり忘れていたのですが、今日、録画してあった「生きる」を見て、トリガーに指がかかりました。


まずは黒澤明没後10年特集を見てみようと思った訳から…

実は、「黒澤明監督映画なんて別に見る必要ないじゃん」と思ってました。だから、没後10年特集なんてのがなければ一生見なかったかも。特集が始まっているのを知っても、最初は見る気がなかったのだけど、そのうち「ま、話の種に見ておくのもいいかも」と録画をし始めた。

…でも、やはり「古さ」が気になるし、やることがいっぱいあってじっくり見ている時間がもったいないし…と、ナガラ族でチラチラ見ていただけでした。黒澤作品なんて過去のもんだしねぇ、と思っていたしね。それでも、いくつか驚いたことがありました。最初に驚いたのは「現代が舞台になっている作品があること」。黒澤映画というと「影武者」とか「乱」とか「七人の侍」とか、そんなのしか聞いたことがなかったから、すっかり「時代劇映画の監督」だとばっかり思っていたんですよね。

基本的には、「古い」のだけど、私が見た16本の中には、たしかに面白いものもあったのにも驚きました。「古さ」を差し引いて見て面白いものもあれば
「古さ」を差し引かなくても面白いものもある…と。

私が去年見た16本は、これ。

 醉いどれ天使
○静かなる決闘
 七人の侍
 生きものの記録
 蜘蛛巣城
 どん底
◎隠し砦の三悪人
 悪い奴ほどよく眠る
 赤ひげ
 どですかでん
○デルス・ウザーラ
 影武者
○乱
 夢
 八月の狂詩曲
○まあだだよ

面白いと思ったものは「○」もしくは「◎」を付けたもの。特に「隠し砦の三悪人」は面白かった。テンポもストーリーもドタバタの雰囲気も、「古さ」を感じさせない面白さだった。「まあだだよ」は、なんか、変な雰囲気と、どんな終わり方をするんだろう?と興味を持たせる面白さ。「影武者」と「乱」は、どちらも同じように大規模な合戦シーンがあって、似たような映画だと思っていたけれど、内容は全然違うということがわかってよかった。「乱」は面白いと思ったけれど、「影武者」は、期待したのとは違う終わり方でガックリ…。

○と◎の違いは「映画館でみてもいいかどうか」の違い、って感じかな。あくまでも、私の感想、なので、異議申し立ては受け付けません(ぺこり)。



■「天国と地獄」

去年見そびれていた「天国と地獄」。アンコール投票で第5位になったということで、今年の特集のトップバッター。

誘拐を扱った現代劇。事前に、そのことだけは知っていたのと、誘拐犯からの電話を取る三船の映像だけちらっと見たことがあったから、誘拐された家庭内で起こる出来事が主なのかと思っていたら、誘拐犯捜査の部分が多くて、そこが非常に面白かったのにビックリ。

視聴者は途中で犯人が誰だかわかるようになっていて、警察がその犯人に辿り着くまでの過程が面白い。

そうそう、NHKといえば、今年になって「刑事コロンボ」の再放送をしてくれていて、懐かしくて録画して見ているのだけど、この、刑事コロンボの面白さと同じ感じ。犯人が分かっていて、糸をたどって犯人に辿り着くワクワク感。

ということで、「天国と地獄」も○に決定〜。


■「生きる」

泣きました。
いい映画じゃないですか〜(今さら私が言うことじゃないだろうけど)。

事前に「余命半年と宣告された市役所の課長が公園を作る話」と聞いていたので、公園を作るために奔走する勇ましい姿が描かれている…と勝手に思っていたのだけれど、実際には、映画の大部分は余命が少ないと宣告されて自暴自棄になっている姿、そして、「生きる」ことに目覚めて、何かを成し遂げようと思った途端に彼の葬式の場面になる…という展開にビックリ。構成にビックリして、そして、彼の生前の姿を効果的に演出する葬式の場面の見事さに脱帽。

そして、「生きていない」時間が多過ぎるかも…、と、ちょっと反省…。



「古い映画を見てもねぇ〜」と敬遠していた自分にも反省し、これから続く特集で、取りあえず黒澤映画は全部見よう、と心に誓った私でした。

あ、でも、面白くないな〜とか、これはちょっとイヤだなぁ〜、と思う作品もあるんですよ。あくまでも私の感覚ってだけのことですから、勝手に言わせておいてください(反論はご容赦ください)。

映画「博士の愛した数式」○

TVで放映されていたので、録画して見ました。
なんとなく気になっていた映画だったのだけど、映画館に行くほどでもないし、わざわざレンタルするほどでもないし…と、すっかり忘れていた映画。TV放映に気がついてよかった〜。

「面白かった」というと語弊がありそうなので「見てよかった」と思える映画でした。

交通事故によって記憶障害になってしまった数学者と、家政婦とその10歳の息子が心を通わせる物語。家政婦とのなにげない日常の出来事がとても幸せに描かれていて、いい感じ。記憶障害を患っている方と接するには、本当ならもっときっと大変なことや理不尽な出来事もたくさんあるだろうけれど、この映画の中では「幸せな時間」だけを前面に出して、辛い部分はバッサリと切り落としたんだろうな。


博士と家政婦とその息子とのコミュニケーションのキーになるのが「数字」。
成長して数学の先生になった息子が、博士との昔話を織り交ぜながら「数字」の不思議な性質を高校生たちに授業で伝える。

この授業は、別の言葉を考える必要も無く、「面白かった」。こんな授業をしてくれる先生がいれば、数学がトコトンキライになる子供も少ないだろうにね。世の中の算数や数学の先生にぜひ見てもらいたい映画かも。これを見ていて、私も「あぁ、数字ってホントに面白いなぁ〜」と、感心してしまいました。


私は理数系出身だし、「数学が得意なんだろう」と思われているかもしれないけれど、「得意か」と問われれば、「得意とは言えない」と答えたい。数式や公式なんかほとんど忘れちゃっているし、それを覚えていて自慢したいなんて思ったこともない(いや、マジ、ホントにほとんど忘れてるからね(苦笑))。

でも、数字や数式の不思議にはワクワクできる。

数字や、宇宙や、量子の世界に、なにか不思議な繋がりがあるなら、それを見てみたいと感じていた。感じていたからこそ、勉強していて楽しかった。受験で使った公式は、ま、すぐに忘れちゃうわけだけど、その不思議な繋がりのヒントだけは、なんとなく覚えてる…って感じ?(笑)

そんな、不思議な繋がりをちょっとでも「先生」と呼ばれる人が示してくれたら、算数が好きになる子がふえるんだろうにね。私みたいな。



たぶん、「頭の体操」(今ならDSのレイトン教授シリーズ)なんかが、この先生の役割を果たしてくれていたのかも。数だけに限らないけれど、なにか不思議な繋がりや、見方を変えるだけで目の前が明るくなる経験は、ほんと、楽しいよね。実は、中高生の頃、「頭の体操」シリーズが大好きで、買い集めてたりしたのでした。だから、レイトン教授シリーズは「懐かしい」と感じるのでありました。