石ノ森章太郎原作の「サイボーグ009」を基にした新作アニメ映画「009 RE:CYBORG」を見てきました。
まず最初に簡単に感想を書いておくと…
面白かった! 3Dで見る価値があった!
神山健治監督万歳っ! 二重丸◎!
いろいろ書きたいことが頭の中に渦巻いていて、きれいに整理しようとすると時間がかかってしまいそうなので、思いついたまま書いておきます。
◆生まれ変わったキャラクタの9人 攻殻機動隊に通じる仲間意識
サイボーグ009は、子供の頃にマンガだったかアニメだったかを見てうすぼんやりと知っていた作品。「うすぼんやり」っていうのは、当たり前のように知っていたはずだけれども、特に思い入れが強かったわけでもなく、9人のサイボーグ戦士たちの詳しい設定なんかは覚えてない…という状況。
映画の最初は、9人の誰がどんな特殊能力を持っていて、いったいどんな設定だったっけ?…っていうのを思い出そうとしながら見てました。最後まで、元キャラを思い出せないメンバーもいたけれど、今回のこの映画を見るには全く支障無し、でした。
もちろん、元キャラを知っていた方が楽しめる部分もあるのかもしれないけれど、9人が9人とも新たなキャラクタ付けがされていて、生まれ変わった容姿としっかり融合して、新たなチームの物語になっていた感じ。
サイボーグ9人と、それを束ねるギルモア博士には、ベタベタした仲間意識はなく、時には対立したり疑惑を抱いたりしながらも、最後の最後は信頼できる仲間として描かれていて、この9人の関係性が、攻殻機動隊S.A.C.(※)の公安9課の関係に似ているなぁと感じました。原作はどうなのか、まったく思い出せないし、映像から受ける印象の影響も大きいだろうけれど。
(※「S.A.C.」はTVシリーズ版の攻殻機動隊。私の中では劇場版とは区別してます。TVシリーズは神山健治監督作品、劇場版は押井守監督作品。キャラクタの性格付けも微妙に違うのです。)
◆攻殻機動隊S.A.C.+APPLESEED+鋼の錬金術師
映画全体のイメージはこの3つを足して割らない感じ(割らないのよ)。
上で書いたように、チームの全体の雰囲気や1人1人のキャラクタの掘り下げ方が攻殻機動隊SACに似ている。
また、009でも9人が使っている特殊能力やギルモア博士のラボ(と思われる場所)で使われている技術の説明は全くなく、見ている側が「たぶんこういうことなのだろう」と推測しながら、最後には「それが当たり前」だと慣らされていく。こういうシナリオの書き方も攻殻機動隊にとても似ている気がした。完全に理解はできないけれど、その世界に当たり前に引き込まれていくのが気持ちいい。
そして映像全てをCGで作っているところは「APPLESEED」のよう。でもAPPLESEED(2004年と2007年の作品)と比べると人物が格段と「自然なアニメ絵」になっていた。違和感無く見ることができた。
そして「鋼の錬金術師」を加えたのは、9人が特殊能力を持っていて、攻殻機動隊やAPPLESEEDよりも派手なアクションシーンが出てきたから(笑)。ジェロニモ(005)のアクションシーンなんて、まるでアームストロング少佐だし(笑)、004は声がマスタング大佐だったし(あ、それは関係ないかw)。
好きで見ていた3つを合わせたような作品なんだもの、気持ちよく見られるはずよね。
◆神山健治監督
人狼JIN-ROH、攻殻機動隊S.A.C.、精霊の守り人、東のエデン。
神山健治さんの関わった作品、特に監督作品には惹かれてきた。サイボーグ009に思い入れのない私が今回の映画を、それも劇場で見てみようと思った大きな理由は、監督が神山健治さんだったから。
(…とか言いつつも、東のエデンの劇場版を見てない。結末知らないという…(苦笑)。見なきゃ。)
そんなわけで、最初からハードル高い状態で見たわけですが、十分、そのハードルを飛び越えた作品でした。
◆自然な3D
3D映画を見るのは初めてだったので他の作品と比較できなくて説得力ないんですが、でも「とても自然でさりげない3D」だと感じました。
3D上映と聞いて、ちょっと不安でした。そういう新しい技術を売りにしている作品の場合、3Dで人を驚かせるような演出を多用するのではないかと…。「技術を使う」作品は好きだけれど、「技術に使われてしまっている」作品には興ざめするので、後者だったらどうしよう…、と。
杞憂でした。
3Dをことさら強調するような演出はなく、自然な奥行きを感じさせる3D演出がメインでした。自然な奥行き…と言っても、高層ビルから見下ろすような展開もあるので、かなり大きな奥行きではあるんですけれどね(さらにそれ以上の奥行きもあるんですが、それは見てからのお楽しみってことで)。
奥行き…といえば、映画の最初の方に出てくる003フランソワーズのあのシーン(ネタバレなので詳しくは書きませんが)は、垂直方向の動きを強調して描かれていた攻殻機動隊の草薙素子(くさなぎもとこ)を思い起こさせてくれました。攻殻機動隊TVシリーズの第1話の登場シーンとか。そういうところで攻殻機動隊に脳みそが直結させられていたかもしれない。
◆ストーリーは?エピローグは?
映画としての結末は……えーっと、ちょっとよくわかりませんでした…。理解できなかった。この作品の今後の展開は知らないんですが、もしかしたら更なる展開があるのかもしれないな、と思わせる終わり方でした。あれは、もしかしたら、劇場版の攻殻機動隊の素子が行ったような世界………??? ストーリーの骨子になるキーワードも、なんだか難しく、1度見ただけでは、いや何度見てもはっきり分からないかも…。
展開としては、あぁジョー(009)頑張れっ、あぁジェット(002)お願いっ、あぁお願い助かって〜、と、ハラハラさせる手に汗握るシーンがたくさん。アクション映画、人間ドラマ映画としては非常に面白かった。
◆結局
ここまで感想を書いてきて気が付いたのは、私は今回の009を「新しい攻殻機動隊作品」的な見方をして喜んでいるのかもしれないですね。登場人物は違うけれども、同じ楽しみ方ができる作品。新しいキャラクタを得て、新しい掘り下げ対象を投入した新たなチームものとして歓迎しているのかも。
その上で、またこのキャラクタ設定で新しい作品を作って欲しいな、と思った。神山009の続編を望むっ!
ちなみに、攻殻機動隊ではトグサが好きです。
で、今回の新009なら、全身が銃器のおっさんアルベルト・ハインリッヒ、サイボーグ004かな。ふふ。やっぱり別の話を見たいですね。続編、作ってくれないかな。