2008年5月13日火曜日

アニメ「巌窟王」 ◎

「巌窟王」をDVDレンタルで見終わりました。
とても印象に残る、いいアニメだったな…というのが感想。

原作はアレクサンドル・デュマの復讐劇「モンテクリスト伯」。「復讐」という感情が不快だと感じて途中で見たくなくなるのではないかと危惧しつつ見ていたんですが、最後までしっかりと見ることができました。憎悪と復讐の心で毒々しい感情を露にするモンテクリスト伯とは対象的に、誰をも疑わない真っ白な心を持っているアルベール(復讐される側の息子)を主人公にしてあったからなのかな。ときに、その純粋さが物語を悲しい方向に導いくこともあったのだけれど、救いのない感情が渦巻く中で、アルベールとその友人たちの無垢で真っ直ぐな感情が救いになっていた。

映像的にもとても面白かった。
以前から、アニメ画像にテクスチャを重ねた不思議な画面づくりをしている…ということで興味を持っていた作品だったのだけれど、実際に見てみてその不思議さに圧倒されました。言ってしまえば「変」な映像。でも、それが、物語のなかの歪んだ感情を表現するのにピッタリの方法にも思える。これが普通の塗り方をしたアニメだったら、こんなに不思議な感覚は得られなかったかも。クリエータの感覚や決断ってすごいなぁ〜と、妙なところに感心しつつ見ほれてしまいました。

声の演技も楽しませていただきました。
モンテクリスト伯は中田譲治さん、アルベールは福山潤さん。中田さんの声には、柔らかで理性的な表面の中にどす黒い感情を入れ込む力があるし、福山くんの声は純粋で可愛い!(あれ?笑)…はっ、ファン目線になっちゃった(笑)。最近、出過ぎな感じのある福山くんだし、結構ふつーの声だと思うんだけど、良い作品に恵まれてますよね。ワタクシ的にツボにハマる役にあたっているんですよね。アルベール役も比較的ハマる役でしたし。

それから、脇役のアンドレア・カヴァルカンティの声も面白かった。モンテクリスト伯の陰謀のために名門貴族の青年実業家に仕立て上げられた囚人。で、声が関智一さん。実業家にしてはスレた声。智一さんならもっと「名門貴族」っぽい声も出せるんだろうけど、あれはワザとスレた感じにしているんでしょうね。その「作られたミスマッチ」がものすご〜く面白かったんですよね。こんなところで喜んでいる視聴者も変ですけどね(笑)。


調べてみたら、6月からNHK-BS2で再放送されるらしい。もう一度見てみたいので、今度は録画しながら見ようと思っているところ。

監督:前田真宏
出演者:中田譲治、 福山潤、 平川大輔、 井上喜久子
収録時間:57分
レンタル開始日:2005-02-25

Story
「青の6号」の前田真宏監督が手掛ける本格アニメドラマシリーズの第1弾。名作「モンテ・クリスト伯」の世界をモチーフに、伯爵の復讐に巻き込まれた少年の姿を描く。第1話「旅の終わりに僕らは出会う」と第2話「月に朝日が昇るまで」を収録する。(C)2004 Mahiro Maeda・GONZO/MEDIA FACTORY・GDH (詳細はこちら