2008年5月28日水曜日

映画「ベクシル −2077 日本鎖国−」(DVDで視聴)

3DCGで制作された映画「ベクシル」をレンタルDVDで見ました。
去年の夏に公開されて、当時からちょっと気になっていたんですが
結局、劇場には行かなかった…という作品。

主要登場人物の声をタレントが当てていることや、
評価が良くなかったことも知っていたので、
あまり期待せずに見ました。

が、結構楽しめましたよ〜。


まず、映像。

3DCGである違和感はあるものの、アップルシードと比べると違和感がなかったかな。輪郭線が付いていない(アップルシードは輪郭線付き)というのも今回の場合良かったのかも。顔の表情が自然で好感が持てました。

それから、アップルシードと比べると、物や人物の「重さ」がきちんと感じられたことに注目しながらみていました。機械や建物の重さはアップルシードでも感じられたけれど、人間の動作に生身の重さを感じなかったんですよね。それが、ベクシルではかなりリアルに感じられた。指の動きなどもかなりリアル。途中、マリアという登場人物が煙草を吸うシーンがあったのですが、その仕草に、ほ〜っと感心しました。


お次はストーリー。

レビューなどで低評価だったストーリー。
「日本鎖国」なんてサブタイトルが付いていることや、薄っぺらそうな影の大ボスに関しては、まぁ、確かに、評価が低いんだろうなぁ……とは思うものの、私は「分かり易くてよかったよ〜」って感じを受けました。

いや〜、実は、アップルシードはストーリーが複雑で、どこに感情移入していいのか分からない…という感想を持っていたんですよね。その点、ベクシルは、非常〜に単純。善悪がはっきりしていて、憎むべき存在をちゃんと作ってくれている。その単純さが低評価に繋がっているのかもしれなけど、アクション映画として十分楽しめました。

日本という国を悪者にしたという点についても、評価が分かれるところみたいですね。確かに、日本人としては双手を上げて賛成ってわけにはいかないのでしょうけれど、他国をモデルにするよりも気分は楽だろうし。架空の国にすればリアリティーが失われてしまって、単なる「ゲームの世界」になってしまう。なので、私は、日本をあのような扱いの対象にしたことには違和感も嫌悪感も感じなかった。


声優については、主要人物の3人(黒木メイサ/谷原章介/松雪泰子が声をあてている)は、あまりしゃべらなかったし(笑)、声の演技で魅せるストーリーでも無かったし、それほど不快には思わなかった。この3人のキャラクタは、ところどころに挿入される回想の映像によってストーリー的キャラ作り込みがしっかりなされていたから…という理由もあるのかな。

ま、松雪泰子の顔はうかんじゃいましたけど、ま、あのキャラを松雪が演じていてもおかしくはないわけで、ま、いっかな〜と。…というよりも、松雪の顔に見えてましたよ(笑)。

キャラクタ的には、日本側にいたトヨエツそっくりのキャラに目を奪われました。カッコいいじゃ〜んって(笑)。もうちょっと、あのキャラについてキャラのストーリー的作り込みをして欲しかったな〜と思いました。トヨエツは好きじゃないけど、あのキャラはナイトキャラっぽくてカッコ良かった〜。


さて、次は「エクスマキナ」を見なくちゃね。
その前に「アップルシード」を再視聴しておこう。

■過去の私の参考日記
攻殻機動隊GHOST IN THE SHELL』『イノセンス』(2006/05/25)
映画「アップルシード」(2004/12/13)

(↓ぽすれんの作品ページへのリンク)
監督:曽利文彦
出演者:黒木メイサ、 谷原章介、 松雪泰子、 大塚明夫
収録時間:109分
レンタル開始日:2008-01-25

Story
『ピンポン』の曽利文彦監督が放つ3DCGアニメ。日本がハイテク鎖国を強行してから10年後の2077年。謎のベールに包まれた実態を探るべく、米国特殊部隊“SWORD”の女性兵士・ベクシルが日本に潜入する。声の出演は黒木メイサ、谷原章介、松雪泰子。 (詳細はこちら

2008年5月13日火曜日

アニメ「巌窟王」 ◎

「巌窟王」をDVDレンタルで見終わりました。
とても印象に残る、いいアニメだったな…というのが感想。

原作はアレクサンドル・デュマの復讐劇「モンテクリスト伯」。「復讐」という感情が不快だと感じて途中で見たくなくなるのではないかと危惧しつつ見ていたんですが、最後までしっかりと見ることができました。憎悪と復讐の心で毒々しい感情を露にするモンテクリスト伯とは対象的に、誰をも疑わない真っ白な心を持っているアルベール(復讐される側の息子)を主人公にしてあったからなのかな。ときに、その純粋さが物語を悲しい方向に導いくこともあったのだけれど、救いのない感情が渦巻く中で、アルベールとその友人たちの無垢で真っ直ぐな感情が救いになっていた。

映像的にもとても面白かった。
以前から、アニメ画像にテクスチャを重ねた不思議な画面づくりをしている…ということで興味を持っていた作品だったのだけれど、実際に見てみてその不思議さに圧倒されました。言ってしまえば「変」な映像。でも、それが、物語のなかの歪んだ感情を表現するのにピッタリの方法にも思える。これが普通の塗り方をしたアニメだったら、こんなに不思議な感覚は得られなかったかも。クリエータの感覚や決断ってすごいなぁ〜と、妙なところに感心しつつ見ほれてしまいました。

声の演技も楽しませていただきました。
モンテクリスト伯は中田譲治さん、アルベールは福山潤さん。中田さんの声には、柔らかで理性的な表面の中にどす黒い感情を入れ込む力があるし、福山くんの声は純粋で可愛い!(あれ?笑)…はっ、ファン目線になっちゃった(笑)。最近、出過ぎな感じのある福山くんだし、結構ふつーの声だと思うんだけど、良い作品に恵まれてますよね。ワタクシ的にツボにハマる役にあたっているんですよね。アルベール役も比較的ハマる役でしたし。

それから、脇役のアンドレア・カヴァルカンティの声も面白かった。モンテクリスト伯の陰謀のために名門貴族の青年実業家に仕立て上げられた囚人。で、声が関智一さん。実業家にしてはスレた声。智一さんならもっと「名門貴族」っぽい声も出せるんだろうけど、あれはワザとスレた感じにしているんでしょうね。その「作られたミスマッチ」がものすご〜く面白かったんですよね。こんなところで喜んでいる視聴者も変ですけどね(笑)。


調べてみたら、6月からNHK-BS2で再放送されるらしい。もう一度見てみたいので、今度は録画しながら見ようと思っているところ。

監督:前田真宏
出演者:中田譲治、 福山潤、 平川大輔、 井上喜久子
収録時間:57分
レンタル開始日:2005-02-25

Story
「青の6号」の前田真宏監督が手掛ける本格アニメドラマシリーズの第1弾。名作「モンテ・クリスト伯」の世界をモチーフに、伯爵の復讐に巻き込まれた少年の姿を描く。第1話「旅の終わりに僕らは出会う」と第2話「月に朝日が昇るまで」を収録する。(C)2004 Mahiro Maeda・GONZO/MEDIA FACTORY・GDH (詳細はこちら